自己紹介

自分の写真
Wales, United Kingdom
日本と英国を行き来する2人のバイリンガルキッズの母。ロンドンで生まれた子供たちを連れて日本へ。横浜で英語で創作絵本を作るキッズ・クリエイティブ・ライティングの教室を開き、英語の絵本の出版。小学校で不登校になった息子を連れて、またまた英国へ。イギリスの自然と息子のテニス・トーナメントの応援と野菜作りを楽しむ日々を過ごしていましたが、社会人学生として大学に入学。

2014年2月27日木曜日

不登校生と答えのだせない宿題

正解のない宿題

海外からの転校生ということでイギリスの小学校で宿題が免除になった息子。
転校してから何週間が過ぎ、5年生もあとわずかで終わりです。
学年末を目の前に、いよいよ息子にも宿題がでるようになりました。

息子に出された最初の宿題は作文。
「小学校6年生になるにあたり自分の抱負を書きなさい。」
いきなりのハードルが高くなりました。

 英語のタイトルの直訳は 「9月から最終学年になるにあたり、どんな6年生になりたいか。」
 題名が難しいが優しいかは関係ありません。

正解のない質問
英語で言うとオープン・クエスチョン(Open Question)というのでしょうか。
作文みたいに自分の気持ちや考えを書きなさいという問題は、息子には目茶苦茶ハードルが高いのです。

 無制限に答えがある分、何を求められているのか考えすぎて固まってしまう息子。

 「自分が思ったように好きなこと書けばいいのよ。」と大人はアドバイスしますが、
 「僕はどう答えたらいいの。どんな答えを求められているの。正解は何?」と悩む息子。

宿題の紙を前にもんもんとして座っている息子
 今回は鉛筆も手にできず、何も起こらない時間がまた長く続いていきます。

先生、なんで足し算とか引き算とか正解がはっきりしている算数の計算とかを宿題にしてくれなかったのかしら。。。 ため息のでる母でした。

不登校生と答えの出せない宿題 たし算 いちたすいちの答えは
いちたすいちの答えは

答えのだせない宿題 

正式な不登校生になってから数ヶ月、2年生も半分を過ぎた頃
「僕、宿題してみようかな。算数の足し算だったらできそう。」と突然言い出した息子。

家の机の引き出しにたんまりたまっていた学校からの宿題。
その中から簡単そうな問題を選びます。
二けたの足し算は難しすぎてだめ。

一けたの足し算なら。。。
 「1+1=  」という問題がありました。
足し算の基礎。
この問題ならいくら小学校1年生から不登校になった息子でも絶対とけると母は確信します。

 他の問題をじーっと見ている息子に「この問題なら簡単じゃない。」と提案してみます。
 じーっと問題を見ながら考えている息子。
止まってしまった時間に待ちきれず母は思わず教えようとします。
 1年の時、習ったように数字の上に丸を書いて、ほら丸が一個と一個でいくつ?

 「わかんないなぁ。」という息子の返答に、
 「答えは2でしょ。」待ちきれなくて思わず答えをいってしまう母でした。

 「答えは2かなぁ?3の可能性はないのかなぁ?答えは絶対3じゃないって言えるのかなぁ?」

『えっ?』そう聞かれると、どう答えたらいいか急に困る母。

「まぁ、小学校の算数では1たす1は2でいいんじゃない。」と宿題を早く進めたい母は答えを書くことを促すのですが。

「うーん、僕にはわからないということで答えはゼロと書いておこう。」 と答えの欄に数字の0を書いた息子。

 1+ 1=0 

『ひぇ~。どうしてそうなっちゃうの。』 

久しぶりに書いた数字。0がきれいに丸く書けません。片側がへこんでえくぼのような丸。
 「うーん、なんだかうまく書けなかったなぁ。消しちゃおう。」と消しゴムに手をやる息子。
 息子が鉛筆を持って数字を書く姿を見たのは何ヶ月ぶり。

 『せっかく書いたのにもったいない。』
 答えが間違っていることは関係ありません。

宿題をやったことが大きな進歩。
消されないように慌てて宿題の紙をかばいますが、時すでに遅し。

うすくなった少しゆがんだゼロの数字を恨めしそうにみつめる母でした。




 ランキングに参加しています。よかったらご協力ください。

にほんブログ村 子育てブログ 不登校・ひきこもり育児へ 
にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ にほんブログ村 テニスブログ ジュニアテニスへ


関連した記事

2014年2月18日火曜日

不登校生と表彰状 イギリスのほめる教育

 転校3週間目の表彰状

 イギリスの小学校へ転校してから3週間目に息子は表彰状を持って帰ってきました。

 「今朝の朝会で僕の名前が呼ばれて壇上に上がって表彰状をもらったんだ。」

 『えっ―!!!』 
いきなり何ということが。。。 

不登校だった息子が毎日学校に通うようになってわずか3週間目に全校生徒の前で表彰状をもらいました。

息子は目立つことが大の苦手
幼稚園の時、お誕生日の生徒たちは月に1度壇上に登ってお祝いしてもらうのですが、その時も壇上に立つのが嫌で泣いて幼稚園に行ったほどの恥ずかしがり屋。

さらに不登校になってからは人目を気にするようになり同じくらいの年齢の子供たちがいっぱいいるからと公園から逃げるように帰って来たことも一度や二度ではありません。

イギリスで毎日登校できるようになっても全校生徒の集まる朝会のある日は怖くてなかなか学校の門がくぐれなかった息子。
副校長先生に手を握られて講堂に入り緊張のあまり吐きそうになりながらも転校して初めての朝会に出席しました。
それが翌週には朝会で壇上にあがるとは。。。

 「大丈夫だった?」
母はこれがトラウマで明日から学校に行けなくなる方が心配。
喜びも半分です。

 「うん、他の学年の生徒も呼ばれて一緒に壇上に上がったから大丈夫。」
息子はごくごく上機嫌。

 ロンドンオリンピック 

イギリスへ転校したのはロンドンオリンピック開催も間際の2012年4月末
 イギリスの小学校ではオリンピックの競技を授業にも盛んに取りこんでいました。
体育の時間は「Javelin(ジャベリン)」と呼ばれる槍投げの競争。
小学校ではオリンピックで使うような重い槍でなくふわふわのフォームでできたロケット型の物を使います。
 息子はこのジャベリンがうまいというので表彰されたのでした。

イギリスの小学校 ほめる教育 表彰状 オリンピック競技のジャベリンで表彰されました
イギリスの小学校 表彰状(Merit Award)


イギリスの小学校とほめる教育 

息子はイギリスの学校に転校してから頻繁に
Great Work
Well done
Magnificent(すばらしい)』
Brilliant Effort(すごい努力)』
といったシールを制服の胸につけて帰ってきました。

 家に帰ってくると仕事をしている私の所へ来て嬉しそうにシールを見せてくれる息子
 「今日は答えられたから。」
「今日は手をあげたから。」
「今日は友達と協力したから。」
いろんな理由で星やほめ言葉のシール(ご褒美シール)をもらって帰ってきます。

 「ありがとう。大切に取っておくね。」とそのシールを母は仕事に使うコンピューターに張り付けていました。そのうちに張る場所がなくなっていきました。

イギリスの学校はほめる教育 ほめ言葉とごほうびシール
イギリスのほめ言葉 ごほうびシール


毎日のように先生に褒めてもらってほめられることに慣れてきた息子。
先生に褒められる度に同級生も「うまいね。」「君はすごい。」と先生と一緒にほめてくれました。
 「ジャベリンが一番うまかったのはだれ?」と聞かれ同級生はみんなで一斉に息子の名前をあげてくれたそうです。

学校で毎日のように先生や同級生に褒められてほめられることに慣れてきた息子。
 先生にほめられて、クラスの皆にほめられて、学年でほめられて、壇上にあがって全校生徒の前で表彰されるのもその延長線上にありました。

苦手なことが減っていく

 壇上にも登ってみんなに見つめられても大丈夫。
人の目を気にしていた不登校時代とは大違い。

初めての表彰状をとても嬉しそうに居間の暖炉の上に飾った息子でした。

短い間にこんなにも変われることができるんだなぁ。

 5年生になって初めてもらえた表彰状
ほめられて素直に喜べるようになりました。

『もう十分。これで小学校生活で思い残すことはないわ』と思った母でした。




 ランキングに参加しています。よかったらご協力ください。

にほんブログ村 子育てブログ 不登校・ひきこもり育児へ 
にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ にほんブログ村 テニスブログ ジュニアテニスへ


関連した記事

2014年2月6日木曜日

イギリスの小学校 転校生と宿題

転校2週間目

イギリスの小学校に転校して1週間がすぎました。
不登校生だった息子が果たして毎日学校へ通うことができるか。

ドキドキだった1週間目が終わり、2週間目のある朝 登校中にとつぜん息子が教えてくれました。
 「クラスで僕だけ宿題が出てないんだよ。」

 『えっ、宿題?』

 息子が毎朝、他の生徒に交じって小学校まで通学できるようになったことにびっくり。さらに学校が終わるまで教室でクラスメイトと一緒に授業を受けているということだけでもわが家にとってはすごいイベントなのです。
 宿題の事なんて頭に浮かばなかった母。

 転校して1週間目は不安を抱えての朝の通学路。
「怖い。怖い。」としか言わなかった息子が2週間目の今朝はやけにおしゃべりです。

「僕は転校生だから宿題は当分出さないって先生がクラスの皆の前で言ったんだ。」
「でも、『え~』とか『ずるーい』とかクラスの誰も言わなかったんだ。」
「みんなそんなの当たり前でしょって言う感じで。」
「日本の小学校だったらありえなかったよね。」

「クラスのみんなが宿題しているのに僕だけ宿題がでないなんて、日本の学校じゃ許されないでしょ。」

小学校1年生から4年生の終わりにイギリスへ転校するまで3年間不登校だった息子。
日本の学校の印象を初めて話した時でした。
息子が日本の小学校で何を感じていたのか初めて垣間見た瞬間でした。

 学校の好きなところ嫌いなところ 

小学1年生にして学校の行き渋りが始まりお休みが続いた2学期。
学校に行けない理由を突き止めようと父親は、
『がっこうのすきなこときらいなことトップ10』という表をつくりました。

ずーっと悩んだあげく書いた息子の答えは。
『がっこうのすきなこと』は1位から10位まで『なし』
『がっこうのきらいなこと』は1位から10位まで『?(疑問符)が書いてありました。

 その表を私は仕事場のデスクの前の壁にはりつけて、
『この好きなところに1つでも何か書ければいいのに。』と願ったり、
 『この嫌いなところのはてなマークに何があるのか少しでも理解できれば。。。』と悩んだり、
イギリスに引っ越すまで息子の不登校と奮闘しながら毎日その表を眺めていました。

 不登校時代に『学校が嫌い』とは言わなかった息子。

「学校の誰が嫌い。」とか「学校のこういうことが嫌い。」とか何か明確なことを話すこともなく、何が理由で学校に行けないのかはっきりとした理由もわからないまま引越することになりました。

不登校の理由を知る為にがっこうのすきなこときらいなこと表をつくりました
『学校の好きなこと嫌いなこと表』


特別なことが特別でない学校

 「僕だけ特別でも誰も不公平だとか思わないんだよ。転校生だからみんなと同じに勉強できないのは当然。だから、宿題がでなくても当然と思っているみたい。」

「それだけじゃなくて、そのことを先生がみんなの前ではっきりと話したんだ。すごいよね。」

 転校生と宿題 
小学校の教室で起きた小さい出来事でした。

 しかし、息子はイギリスの小学校で自分だけの特別な待遇が社会的に許されることに驚きを感じていたのでした。

日本からの転校生だから
授業中1人だけコンピューターを使っていい。
 宿題も免除でいい。

特別な待遇を受けれるだけでなく周りの同級生もそれを当然のことだと認めてくれる。

特別なことが特別でないイギリスの小学校

日本の学校で同じように感じることができたならば不登校はなかったのかな。




 ランキングに参加しています。よかったらご協力ください。

にほんブログ村 子育てブログ 不登校・ひきこもり育児へ 
にほんブログ村 海外生活ブログ イギリス情報へ にほんブログ村 テニスブログ ジュニアテニスへ


関連した記事