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日本と英国を行き来する2人のバイリンガルキッズの母。ロンドンで生まれた子供たちを連れて日本へ。横浜で英語で創作絵本を作るキッズ・クリエイティブ・ライティングの教室を開き、英語の絵本の出版。小学校で不登校になった息子を連れて、またまた英国へ。イギリスの自然と息子のテニス・トーナメントの応援と野菜作りを楽しむ日々を過ごしていましたが、社会人学生として大学に入学。
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2014年6月12日木曜日

イギリスの試験 全国統一試験 GCSE 2度目のチャレンジ


 受験シーズン到来


イギリスでは最終学年末になる5月と6月が中高生にとっての受験シーズン。

この6月に息子は2度目のGCSEを受けます。
GCSE(The General Certificate of Secondary Education)は英国の中学修了時に行う全国統一学力試験。イギリスの生徒は通常15/16歳となる11年生(Year 11)に受けます。

日本に6年間住んでいた息子は英国に引っ越して1年になる去年の6月に日本語のGCSEを受けました。
結果はギリギリ合格点のC。 (D以下でも不合格ではないのですが、大学受験や就職にはGCSEのC以上のグレード求められることがほとんどです。グレードCを取ったらGCSEの試験をパスしたと一般的に考えられています。) 

まぁ、しかたがないかぁ。
母は息子が大きな試験に挑戦できただけでも満足でしたが、イギリス人の父親はGCSEの重要性をよく知っているのかいないのかこの結果に納得せずに「来年もう一回トライしてみよう。」 

日本で不登校生だった息子。イギリスに来てからは毎日現地小学校へ通学し、みんなと勉強できたり、6年生には全国学力試験を受けたりもできるようになりましたが。。。

『GCSEの試験場に足を運ぶことができるか?』
 去年の受験時はそれすらも大きな疑問でした。
本当にGCSEというイギリスの中学生でさえも大変な試験に挑戦できるのだろうか。
もちろん過去問などを解く余裕もなく何の準備もしないで迎えた試験日でした。 

イギリスの全国統一試験 GCSE 日本語 リーディング問題用紙  2013年度
GCSE Japanese 2013年度
リーディング問題用紙

GCSE Japanese

日本語のGCSEはリスニング、リーディング、ライティング(作文)、スピーキング(面接による会話)の4試験で3日間の日程で行われます。

GCSE日本語の試験項目と試験時間

ユニット1 リスニング 50分 
ユニット2 スピーキング 8-10分 受験者がスピーチに合う写真やイメージを持参。自分の決めたトピックを話すプレゼン式を選ぶこともできる。
ユニット3 リーディング 55分 9問 解答選択式と英語での記述式
ユニット4 ライティング 1時間  セクションA:小作文(75~180字)セクションB:作文(300字以上)

大きな不安を抱えた去年のGCSE。
試験日程で試験官と面接するスピーキングテストが一番初めに終わりました。

日本語のように英国ではマイナーな言語の科目だと日本語の話せる面接官を探すのも大変です。ロンドンだと日本語のGCSEやAレベルの試験を毎年行う試験会場がありますが、地方だとそうも簡単に話が運ばなかったり。

通常は学校側が探してくれますが、受験者に試験官にふさわしい人を探してきてと頼む時もあるみたいです。

試験日が決められて全国一斉に行われる筆記試験と違いスピーキングの試験日は「何月何日までに終了していること」と決められているだけで、特定の試験日は指定されません。

 我が家の子供達のGCSE受験にあたり試験会場になる娘の中学校から「日本語を話せてGCSEの試験官にふさわしい人を紹介してください。」と依頼がありました。

地元の大学で日本語講師をされている方をお頼みして、試験日程はこの先生と都合の良い日を決めることが出来ました。

「楽しくおしゃべりできました。」と試験官から太鼓判をもらったお陰で筆記試験への不安が大幅に減少した息子。 

筆記試験での作文は一文字も書かなかったと淡々と両親に報告した息子ですが「この次に受ける時には、もう少し日本語を書く練習しないとね。」と明るく試験会場を出たのでした。 


CGSE 再受験(Resit)と早期受験(Early Entry)

GCSEは再受験ができます。

もちろん1回の試験で最高グレードのAが取れればそれに越したことはないのですが、GCSEの平均スコアの低い学校では、再受験を見越して、本来は11年生で受けるGCSE試験を前倒しで生徒が9年生や10年生の時に行わせることもあります。

その場合は本来最低2年間かけて勉強するところを1年だけで勉強したりと準備期間が短くなるので『本当に成果が良いのかな?』と思っていたら、やはり英国政府も同じように考えていたみたいで教育改革の一部とし早期受験の規定が変わるそうです。

2013年9月以降から英語などコアの教科は最初のGCSE試験の結果のみが学校のパフォーマンスとして反映されるということになりました。 

受験者にとって再受験はどうなるの?

GCSEの再試験を受けた場合、前回のスコアより低い点数になっても高い方を使うことができます。英語や数学は翌年の6月を待たずに再受験ができますが、日本語は毎年6月の試験のみです。教育改革の進む昨今のイギリスではその変化についていくのに教師も親も大変です。

我が息子、大丈夫かしら。
また同じグレードを取るならまだしもそれ以下になる可能性もあるし。。。
何度、再受験してもいいGCSE。でも何度もやることに意味があるのかな?近い将来廃止になるかもしれないと言われている日本語のGCSE。受けれる内に受けておいたほうがいいのかなぁ。

 去年、父親が「チャレンジしてみることに意義がある。」と言って申し込んだGCSE。合格はもとより白紙解答になるだろうとあきらめていた母でしたが、結果が出た試験の再チャレンジとなると違います。
今回は過去の問題用紙や解答を熟読してやけに熱心な母。

 それにしても筆記試験の作文で一文字も書かずによくグレードCが取れたものだ。

この謎を解くべく去年の試験の結果を改めて見てみました。

GCSE日本語の受験対策

息子の去年のGCSE Japaneseの点数は。。。(カッコ内の点数は満点の場合 )
  1. リスニング   59点 (70点) 
  2. スピーキング 80点 (80点) 
  3. リーディング  60点 (70点) 
  4. ライティング  0点 (80点) 
去年の受験直後は無事にGCSEの試験を受けることができただけで興奮し、後日送られてきた結果を見ても数字がろくに頭に入ってこない母。ひたすら作文の試験の0点の部分だけを見つめていました。

不思議なことに1年経って冷静に眺めると数字からいろんなものが見えてきます。

去年の受験前は過去問を見せただけで粉砕されて下を向いて固まっていた息子も難関を乗り越えてしまえば余裕をもって振り返れます。

 「あれ?この問題のページあったかな?試験の時見なかったけど。」首をかしげる息子。

イギリスの全国統一試験であるGCSE 日本語 リーディング試験問題 2013年度
2013年度GCSE日本語の問題

解答は英語力が必要

ライティングの問題用紙には(たぶん受験者がメモできるようにと)白紙のページがところどころに挿入されています。最後の問題の前のページも白紙のページが入っていて、息子はそのページで試験問題が終わったと思い込んだみたいです。

ライティングの最後の問題は日本語の長文を読んで答えを英語で書く問題。漢字や日本語ボキャブラリーを問われるだけでなく、ある程度英語も書けないと答えられません。

この最後の問題の点数配点は10点。 

母と同じく、2度目は前向きに試験準備に取り組む息子。過去問題にチャレンジ。
「自転車のスペルってBycicleでいいのかな?」

英語で文章が書けるようになってもスペルの間違いの多い息子。
「惜しい。。。Bicycleなんだけどなぁ。」

『英語で答えを書くのはやっぱり無理か』 と心の中でつぶやく母。

幸いに日本語のGCSEはあくまでも日本語能力を試すものということなのか。英語の単語のスペルが間違っていても大目に見てもらえそう。

リスニング問題ではBrown Blounと書いてもComputerComputarと書いても発音が似ているからOK。「Various spelling of ~」 とか「Accept any incorrect spelling」と解答欄に注釈が入っています。
 さらに作文の試験では日英/英日の辞書あるいは電子辞書も持ち込みOK

ほっと胸をなでおろす母でした。

 リーディングの10点と共にリスニングはあと11点足りなかった去年の試験。
「リスニングの試験は音声が始まってからいつ答えを書くのか分からなくて、話す声が終わるのを待っていたら次の問題に進んで1問目は全く答えを書けなかった。」という息子。

去年できなかった問題の解決策が見えてきました。
もしかしたら2度目のチャレンジは無駄ではないかもしれない。。。


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GCSE日本語の過去の試験問題・回答は試験機関であるEDEXCELからダウンロードできます。→リンク
また、『右往左往のイギリス大学受験記』のブログを執筆している鉄火のマキさんがEdexcelへのリンクを年度ごとにまとめたリストを作ってくれています。→リンク

参照:
Edexcel
http://www.edexcel.com/quals/gcse/gcse09/mfl/japanese/Pages/default.aspx
英国政府 GCSE 早期受験について 
https://www.gov.uk/government/news/changes-to-early-entry-at-gcse

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2014年4月15日火曜日

イギリスの学校 特別支援教育(SEN)と個別教育計画(IEP)

特別支援のミーティング

イギリスの小学校に転校してから初めての担任の先生との保護者面談がありました。
その時に「息子さんは特別教育支援(Special Education Needs:SEN)の生徒ですので、特別支援の教師との保護者面談もあります。」と言われました。

担任の先生の保護者面談と違い、息子を通さず直接学校からの電話で面談日が決まりました。
担任の先生との面談場所はクラスの教室だったのに、今回の面談は校長室で行われました。
挨拶して入ると部屋に待っていた面談担当の先生の人数が3名と知って少しびっくり。

3名の先生の一人は息子をクラスでサポートしてくれる顔見知りの副担任の先生 
もう一人は初めてお会いする先生で息子の個別支援の先生 
最後の一人は息子とも面識がないという教育委員会(Local Education Authority:LEA)の先生でした。

初めてお会いする先生が2名もいて、担任の先生との保護者面談とは違う重々しい雰囲気に少し気が引いた母。

これが、IEPミーティングと呼ばれる特別支援教育(SEN)の児童の為の支援チームのミーティングでした。

このミーティングには必ず児童の保護者も出席することが要求されています。

IEPってなに? 

IEPは、英国では『Individualized Education Plan』と呼ばれる生徒一人ひとりの為に作られる個別の教育計画表です。

IEPは特別教育支援(Special Education Needs、略してSEN)を必要とする個々の児童の為に作られて、その生徒に携わる先生やサポーターの教育指導の目安となります。

息子はSENの生徒として、週2回 英語の個別指導を受けていました。
英語の個別指導は外部の専門の先生が息子専用のIEPに従って行います。 

英語の個別授業以外の学習サポートにおいては学校のSENの資格を持った先生や副担任の先生が、やはりこのIEPに従ってクラスでの授業や少人数の取り出し授業の時に息子の学習サポートを行っていきます。

 突然3人の先生との面談と知って思わず気持ちが引いてしまった母とは反対に、どの先生もとても朗らかでした。

特に教育委員会の先生は「なぜこの人がいるのかしら???」と不思議がる両親に「息子さんとは面識がないが、彼のことはこの2名の先生や学校のSENCO(SENコーディネーター)の先生からよく聞いて知っています。息子さんの学習カリキュラム(IEP)は私が作成しています。」と説明してくれました。

そして、息子のIEPを見せてくれました。
イギリスの教育制度 特別支援 教育計画表(IEP)
イギリスの特別支援の教育計画表(IEP)


 IEPには必ず学習における「ターゲット」「方法・戦略」「結果」が書かれています。通常、3つから4つの短期的目標をあげています。

その他に児童の得意・不得意および不安となる材料、IEPがどのようにコーディネートされているか特別支援およびサポートチーム詳細、達成までの期間、IEPの見直しのタイムライン、学習サポート以外に提供されているサポートが含まれる場合もあります。

息子のIEPにも以下の項目がありました。

  1. Target to be achieved (達成するべきターゲット)
  2.  Achievement Criteria (達成基準)
  3.  Possible resources  (利用できる資料)
  4. Possible Class Strategy (利用できる教室でのストラテジー)
  5. Ideas for support/TA (支援の仕方/ティーチングアシスタント)
  6. Outcomes (結果)


このIEPは決して個別指導および特別支援を行う先生のみが利用するものではなく、担任の先生およびその児童に携わる学校の全ての先生がこのIEPを理解して、必要なフィードバックをSENCOと呼ばれるSENのコーディネートの先生に行います。

そのフィードバックはSENCOの先生を通してIEPを作成する専門家の先生に届き、IEPの見直しが行われます。

 IEPの見直しは、年数回行われて、最低でも6ヶ月に1回は見直しが行われます。

息子のIEPミーティングは2学期のはじめに行われたので、結果は記入されていませんでしたが、見直しは新学年が始まってから10月、12月とすでに2度行われていました。

IEPは英語や算数などの教科の学習だけを目的にされていません。コミニュケーション社会的スキルの分野も含めてターゲットを設定して指導が行われます。

教育委員会の先生も、日本で生活、不登校だったこと、バイリンガルであること等息子に関して幅広く興味を持って保護者の話を聞いてくれました。そして、息子に普段は接していないのに、体育が得意なこと、シャイだけど的確な話し方を誰ともできること等息子のことをよく知っていました。

この日に初めて息子の転校時に行われたアセスメントのテスト用紙も見せてもらいました。

英語が書けないのでほとんど白紙のテスト用紙。
アルファベットどころか数字も書けない部分が多くありました。

「このテストの結果を見て、私達には、息子さんが学習のサポートがどのくらい必要がわかります。」と副担任の先生からのコメント。

不登校時代を彷彿させる真っ白な回答用紙。

 『はい、彼に学習支援が必要なのは、誰が見てもわかるでしょう。』と母は思うとともに、テストの行われた日からわずか数ヶ月で息子の学力が大きく変わったことを感じました。

日本からイギリスの学校へ転校して、英語圏以外の国からの転校生ということで特別支援(SEN)の生徒と認められた息子。

学校へ通えるようになってラッキー。学校で個別指導が受けられてラッキー。教室の授業でもサポートの先生がついてくれてラッキー。なんて思いながらも、どんどん自信をつけて変わっていく息子をみて母は不思議でした。

しかし、彼の変化の裏にはこんなイギリスの学校教育の支援システムがあったのでした。

息子は学校の内外を通して大きな教育支援システムのネットに支えられていたんだと初めて気が付かされたIEPミーティングでした。

ただ、息子がイギリスの小学校ですぐに特別教育支援を受ける事ができたのはラッキーだったのかなと思うこともあります。なぜなら、イギリスの学校でSENの生徒として認めてもらうのに時間がかかったり、十分な適宜な指導が行われていないと感じる児童や保護者もいるからです。

イギリスにSEN専門の弁護士がいたりするのはその実情を裏付けているのではないかと思います。


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参照: 英国 The National Autistic Society http://www.autism.org.uk/, 英国政府https://www.gov.uk/children-with-special-educational-needs/overview,



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