見えない将来
小学校1年生から不登校生になった息子。 将来の話をする時が一番辛そうでした。3歳上の姉の進学の話などをしている時「(高校生の)その頃には僕はもういないから。」 と言っていた息子。
それを聞いて「えぇー。どういう意味?」 と心の中で慌てる母。
自殺という言葉が頭をかすみます。
まだまだ何年も先の将来をそんなに悲観しなくても。。。
君はまだ8歳なんだよ。
息子の何倍も多く年をとってきた母は「学校に行けなくても勉強ができなくても君は社会に出たら必ずちゃんと生きていけるよ」と思うのですがそんな慰めの言葉は息子の心には届きません。
小学生の息子が言う
「僕には将来はない。」
「将来には僕はいないから。」
学校へ行けないことで一番辛い思いをしているのは当人の息子なのだと気がつかせてくれる言葉でした。
消えない不安
イギリスへ引っ越してから毎日学校へいけるようになって3年が経ちます。
不登校時代が遠くなってきたと感じ始めた母と違い息子は未だに同級生と一緒に勉強できなかった時代を思い学力が低い自分の将来を悲観していました。
姉の高校進学が近づき進路の話が出た時に「僕は学校へ行ってなかったら勉強できないから大学にはいけない。」「将来僕のできる仕事なんてないよ。」と悲観的な息子。
毎日登校できるようになったのに学力も少しづつだけどついてきているのに、なぜ未でも将来にこんなに悲観的なのだろう。
母は思います。
「親が何か悪いかしら?」
「私が何か悲観的なものをもっているのかしら?」
「母親の私が変わることで何か変わるのかしら?」
不登校時に繰り返し自問していた言葉が今また心に浮かんできます。
人生100年
私たちがイギリスに引っ越してから3ヶ月後に夫を亡くした義母。
片割れを亡くし嘆き悲しむ義母。亡くなった義父より一つ歳上の89歳。
このまま彼女も後を追っていつ亡くなっておかしくないと家族が思っていた3年前。
「元気を出して。元気を出して。」と孫達に励まされていたら、本当にだんだん元気になって90歳になってから何年ぶりかの旅行に行くようになったりしました。
90過ぎてから年々元気になっていく義母をみていると人生100歳の時代がもうすぐ来るような気がする私。
世界の高齢化率の推移 (内閣府調査) |
「僕まだ13歳なんだけど。後10年以上は待ってもらわないと。」と困った顔で私に相談する息子。
「あの調子ならおばあちゃんは後15年くらい大丈夫そうよね。」と答える私。
「ママも見習って130歳まで生きるつもりでいるからよろしくね。」と 思いついた言葉を口にした母。
「それじゃ、僕はいくつまで生きればいいの?」
「ママは130歳まで生きるから、老後の面倒を見てもらわないといけないからあなたには103歳くらいまで生きてもらわないと。」
「そうかぁ。じゃあ、僕も長生きするように頑張るよ。」
90過ぎても元気に過ごす義母に感化された私が思った言葉を口にしただけでしたがこんなに前向きな返事をもらえるとは思っていませんでした。
「元気を出して。元気を出して。」とおばあちゃんを励ましているうちにだんだん自分も元気をもらうようになった家族達。
50歳からの大学生
90を過ぎて年々元気になっていく義理母をみて100歳になった自分の姿を思い浮かべる嫁は思います。
そうだ。人生100年とすると私はまだ半分しか生きていない。
今までの自分は80歳くらいまでなんとなく生きていくだろうとぼーっと思っていた。
もっと前向きに貪欲に生きていいこうと思ったらどうなるのだろう。
おぎゃーと生まれてから今年までと同じ年月をこの先も生きていかないといけないとなれば人生の設計も変わります。色んなことができるかも。
息子に人生は楽しいと思ってもらうには私が変わらないと。
不登校の時には変わりたくても息子のそばについていることに必死でポジティブに大きく自分を変えようと思うこともできませんでした。
自分たちの中の悪いところはないかと悪いところ探しばかりでした。
学校に息子が元気に通うようになって3年目。親子共に人生を前向きに生きていこう。
この秋、母は大学生になります。
社会人の大学入学率が増えているイギリス 25歳以上の大学入学者の増加がめざましい。 2014年前年度比8.6% |
不思議なことにちょっと長生きしようと思っただけで自分も周りの人たちも視点が変わった気がします。
息子も最近は「僕は将来ものを作ったりデザインする仕事がしたいな。」と言うようになりました。
不登校脱出から3年。ようやく将来を夢みて人生の設計をできるようになってきました。
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参照:内閣府 平成27年版高齢社会白書
UCAS End of Cycle Report 2014 Applicants and acceptances by domicile and age group 2010-2014