受験シーズン到来
イギリスでは最終学年末になる5月と6月が中高生にとっての受験シーズン。
この6月に息子は2度目のGCSEを受けます。
GCSE(The General Certificate of Secondary Education)は英国の中学修了時に行う全国統一学力試験。イギリスの生徒は通常15/16歳となる11年生(Year 11)に受けます。
日本に6年間住んでいた息子は英国に引っ越して1年になる去年の6月に日本語のGCSEを受けました。
結果はギリギリ合格点のC。 (D以下でも不合格ではないのですが、大学受験や就職にはGCSEのC以上のグレード求められることがほとんどです。グレードCを取ったらGCSEの試験をパスしたと一般的に考えられています。)
まぁ、しかたがないかぁ。
母は息子が大きな試験に挑戦できただけでも満足でしたが、イギリス人の父親はGCSEの重要性をよく知っているのかいないのかこの結果に納得せずに「来年もう一回トライしてみよう。」
日本で不登校生だった息子。イギリスに来てからは毎日現地小学校へ通学し、みんなと勉強できたり、6年生には全国学力試験を受けたりもできるようになりましたが。。。
『GCSEの試験場に足を運ぶことができるか?』
去年の受験時はそれすらも大きな疑問でした。
本当にGCSEというイギリスの中学生でさえも大変な試験に挑戦できるのだろうか。
もちろん過去問などを解く余裕もなく何の準備もしないで迎えた試験日でした。
GCSE Japanese 2013年度 リーディング問題用紙 |
GCSE Japanese
日本語のGCSEはリスニング、リーディング、ライティング(作文)、スピーキング(面接による会話)の4試験で3日間の日程で行われます。GCSE日本語の試験項目と試験時間
ユニット1 リスニング 50分
ユニット2 スピーキング 8-10分 受験者がスピーチに合う写真やイメージを持参。自分の決めたトピックを話すプレゼン式を選ぶこともできる。
ユニット3 リーディング 55分 9問 解答選択式と英語での記述式
ユニット4 ライティング 1時間 セクションA:小作文(75~180字)セクションB:作文(300字以上)
大きな不安を抱えた去年のGCSE。
試験日程で試験官と面接するスピーキングテストが一番初めに終わりました。
日本語のように英国ではマイナーな言語の科目だと日本語の話せる面接官を探すのも大変です。ロンドンだと日本語のGCSEやAレベルの試験を毎年行う試験会場がありますが、地方だとそうも簡単に話が運ばなかったり。
通常は学校側が探してくれますが、受験者に試験官にふさわしい人を探してきてと頼む時もあるみたいです。
試験日が決められて全国一斉に行われる筆記試験と違いスピーキングの試験日は「何月何日までに終了していること」と決められているだけで、特定の試験日は指定されません。
我が家の子供達のGCSE受験にあたり試験会場になる娘の中学校から「日本語を話せてGCSEの試験官にふさわしい人を紹介してください。」と依頼がありました。
地元の大学で日本語講師をされている方をお頼みして、試験日程はこの先生と都合の良い日を決めることが出来ました。
「楽しくおしゃべりできました。」と試験官から太鼓判をもらったお陰で筆記試験への不安が大幅に減少した息子。
筆記試験での作文は一文字も書かなかったと淡々と両親に報告した息子ですが「この次に受ける時には、もう少し日本語を書く練習しないとね。」と明るく試験会場を出たのでした。
CGSE 再受験(Resit)と早期受験(Early Entry)
GCSEは再受験ができます。もちろん1回の試験で最高グレードのAが取れればそれに越したことはないのですが、GCSEの平均スコアの低い学校では、再受験を見越して、本来は11年生で受けるGCSE試験を前倒しで生徒が9年生や10年生の時に行わせることもあります。
その場合は本来最低2年間かけて勉強するところを1年だけで勉強したりと準備期間が短くなるので『本当に成果が良いのかな?』と思っていたら、やはり英国政府も同じように考えていたみたいで教育改革の一部とし早期受験の規定が変わるそうです。
2013年9月以降から英語などコアの教科は最初のGCSE試験の結果のみが学校のパフォーマンスとして反映されるということになりました。
受験者にとって再受験はどうなるの?
GCSEの再試験を受けた場合、前回のスコアより低い点数になっても高い方を使うことができます。英語や数学は翌年の6月を待たずに再受験ができますが、日本語は毎年6月の試験のみです。教育改革の進む昨今のイギリスではその変化についていくのに教師も親も大変です。
我が息子、大丈夫かしら。
また同じグレードを取るならまだしもそれ以下になる可能性もあるし。。。
何度、再受験してもいいGCSE。でも何度もやることに意味があるのかな?近い将来廃止になるかもしれないと言われている日本語のGCSE。受けれる内に受けておいたほうがいいのかなぁ。
去年、父親が「チャレンジしてみることに意義がある。」と言って申し込んだGCSE。合格はもとより白紙解答になるだろうとあきらめていた母でしたが、結果が出た試験の再チャレンジとなると違います。
今回は過去の問題用紙や解答を熟読してやけに熱心な母。
それにしても筆記試験の作文で一文字も書かずによくグレードCが取れたものだ。
この謎を解くべく去年の試験の結果を改めて見てみました。
GCSE日本語の受験対策
息子の去年のGCSE Japaneseの点数は。。。(カッコ内の点数は満点の場合 )- リスニング 59点 (70点)
- スピーキング 80点 (80点)
- リーディング 60点 (70点)
- ライティング 0点 (80点)
不思議なことに1年経って冷静に眺めると数字からいろんなものが見えてきます。
去年の受験前は過去問を見せただけで粉砕されて下を向いて固まっていた息子も難関を乗り越えてしまえば余裕をもって振り返れます。
「あれ?この問題のページあったかな?試験の時見なかったけど。」首をかしげる息子。
2013年度GCSE日本語の問題 |
解答は英語力が必要 |
ライティングの問題用紙には(たぶん受験者がメモできるようにと)白紙のページがところどころに挿入されています。最後の問題の前のページも白紙のページが入っていて、息子はそのページで試験問題が終わったと思い込んだみたいです。
ライティングの最後の問題は日本語の長文を読んで答えを英語で書く問題。漢字や日本語ボキャブラリーを問われるだけでなく、ある程度英語も書けないと答えられません。
この最後の問題の点数配点は10点。
母と同じく、2度目は前向きに試験準備に取り組む息子。過去問題にチャレンジ。
「自転車のスペルってBycicleでいいのかな?」
英語で文章が書けるようになってもスペルの間違いの多い息子。
「惜しい。。。Bicycleなんだけどなぁ。」
『英語で答えを書くのはやっぱり無理か』 と心の中でつぶやく母。
幸いに日本語のGCSEはあくまでも日本語能力を試すものということなのか。英語の単語のスペルが間違っていても大目に見てもらえそう。
リスニング問題ではBrown をBlounと書いてもComputerをComputarと書いても発音が似ているからOK。「Various spelling of ~」 とか「Accept any incorrect spelling」と解答欄に注釈が入っています。
さらに作文の試験では日英/英日の辞書あるいは電子辞書も持ち込みOK
ほっと胸をなでおろす母でした。
リーディングの10点と共にリスニングはあと11点足りなかった去年の試験。
「リスニングの試験は音声が始まってからいつ答えを書くのか分からなくて、話す声が終わるのを待っていたら次の問題に進んで1問目は全く答えを書けなかった。」という息子。
去年できなかった問題の解決策が見えてきました。
もしかしたら2度目のチャレンジは無駄ではないかもしれない。。。
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GCSE日本語の過去の試験問題・回答は試験機関であるEDEXCELからダウンロードできます。→リンク
また、『右往左往のイギリス大学受験記』のブログを執筆している鉄火のマキさんがEdexcelへのリンクを年度ごとにまとめたリストを作ってくれています。→リンク
参照:
Edexcel
http://www.edexcel.com/quals/gcse/gcse09/mfl/japanese/Pages/default.aspx
英国政府 GCSE 早期受験について
https://www.gov.uk/government/news/changes-to-early-entry-at-gcse
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返信削除このコメントは投稿者によって削除されました。
削除読ませてもらいながら、いつも感心するばかりです。お母さんが一番よく分かってらっしゃるのが伝わってきます。これが一番子供に心強い事なんでしょうね。同じ年齢の息子を持つ母として勉強になります。
返信削除いつもブログを読んでくださってありがとうございます。読者の皆さんと分けあいながら子どもと一緒に成長していきたいと思っています。
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