保護者面談 ペアレンツ・ミーティング
不登校生だった上に小学校高学年で海外へ転校と不安がいっぱいありましたが、イギリスの学校でのサポートはいくつもの層に分けて行われて息子も毎日の学校生活に慣れていきました。イギリスの学校へ転校してわずか2ヶ月で6年生になった息子。
6年生の1学期末に「Parent meeting」と呼ばれる保護者面談がありました。
日本では同級生と一緒に授業を受けれず学習も遅れていたのに、転校したイギリスの小学校では賞状やご褒美ステッカーをいっぱいもらって帰ってくるようになった息子。
保護者面談でも、担任の先生からも「すごい。すごい。」とお褒めの言葉をもらいましたが、さて実際、息子はどのくらい勉強が出来るようになったのか。
イギリスには義務教育の生徒の学習レベルを表す全国共通の数値があります。
キーステージと学習習熟度(評価レベル)
小学校1年生(5歳)から中学生卒業(16歳)までの義務教育期間の学習習熟度はキーステージ(Key Stage)と呼ばれる段階で分けられます。- キーステージ1 Year 1&2 (5~7歳)
- キーステージ2 Year 3・4・5・6(8~11歳)
- キーステージ3 Yea 7・8・9(11~14歳)
- キーステージ4 Year 10・11(14~16歳)
イギリスでは、キーステージ1と2が小学校、キーステージ3と4が中学校となります。
イギリスの義務教育は日本で言うと幼稚園年長組から高校1年生の1学期までと日本に比べてかなり長い。(4歳児が入れるY1の下のレセプションと呼ばれる学年を持つ学校もあります。)
英国教育省のナショナルカリキュラム キーステージと評価
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キーステージごとに「達成目標レベル」が決められています。
この達成目標レベルは『Average level of attainment』と呼ばれ、各段階での平均的な習熟度を表しています。
決してこのレベルに達しなければ不合格ということではなく、あくまでも目安としてキーステージごとの2―3年でどのくらいまで伸びるかを考慮して各生徒の学習計画がたてられていきます。
各キーステージの終了時に全国試験があります。
小学校時のキーステージ2と3の時にSATテストと呼ばれる算数・理科・英語のテストが行われ、キーステージ4の終了時に中学生は通常GCSEと呼ばれるテストを受けます。
全国試験のない学年時でも、宿題・校内テスト・授業での態度などで先生は生徒の能力をカリキュラムの内容と合わせて数値化していきます。
キーステージ終了時にターゲットのレベルに達成しないようだと判断したら、ターゲットのレベルを引き下げて、習得が早い時はターゲットのレベルを引き上げてと先生方は生徒の学習の目標を調整していきます。
「1年間で結果が出なくても、数年間の枠で考えていこう。数年間でどのくらいの成長があったかをみていこう。」という教育の姿勢です。
イギリスの先生と英語の作文の評価
さて、各教科の息子のレベルを担任の先生から見せてもらいました。体育は4。ふむふむ。
それ以外は期待してなかったのですが、英語や算数でレベル3と書いてありました。信じられない。
「小学校6年の終わりにはレベル4をとれば平均として満足ということになりますが、息子さんの場合、日本からの転校生なのでレベル3の上を目標にしています。」と少し済まなそうに言う先生。
数値で息子の学力が表してもらえるだけでも驚きです。不登校時代の真っ白だった学校の通信簿の欄を思い出します。
「本当にこの数値ですか。」書いてある数字をさして思わず聞いてしまう母でした。
「この数値は担任教師だけの判断でありません。息子さんの勉強に携わっている副担任、個別指導教師、その他の先生達からのフィードバックによって評価されています。さらに宿題や学校内でのプロジェクトのノートは外部の審査に提出して公平な評価がされます。」
そして、息子の英語の作文を見せてもらいました。 そこには、数行にもわたってぎっしり手書きの文章が。。。
『これを我が息子が本当に書いたんですか。』
でも、よく見るとほとんどの単語のスペルが間違っていて、句読点もなければ、文章の始まりの文字も大文字で始まっていないなど文法も間違いだらけ。
「これを見て私が言えることは。。。」と先生が作文を前に話しだしました。
「スペルが間違っているし、文法もまだまだ勉強が必要ですね。」と母は思わず続けると。
「いいえ、これを見て教師として言えることは、息子さんには作文を書く能力があるということです。」
と言い切った担任の先生。
全く予期もしなかった言葉に『へっ。』と驚いた両親二人。
「単語のスペルが間違っているのは、これが正しいのです。英語の単語の発音どおりに書いてあります。英語のスペルは発音しない部分も文字があったりして難しいです。習わずに書けるわけがありません。これでいいんです。イギリスで初めてスペルを習う1年生にはこうやって教えています。文法だって習っていけば良くなるのです。それは私達が教えていきます。」
「でも、文章を書く才能はあるかないかです。息子さんはスペルが間違っていても、文法がめちゃくちゃでも作文を書く才能があります。」
力強い言葉を頂き安心したというよりただただ驚いた両親でしたが、実際は、この半年後に息子が書き終えた作文を読むまで、ただの気休めみたいなものだろうと思っていました。
『だいたい、この数行の滅茶苦茶の文章を見てどうして作文の才能があると言い切れるのだろう。』
字を書いたり絵を描いたり創作活動が息子は苦手と思っていた両親。
字を書こうとすると鉛筆を持ったまま固まっていた息子。アルファベットも満足に書けずにキーボードを叩いて始まった英語の授業。
この両親面談の日からたった数ヶ月で、息子がみんなの前で朗読をしてもらえるような作文を手書きで書けるようになるとは思っていなかったのでした。
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参照: 英国 教育省 UK Department for Education
https://www.gov.uk/national-curriculum/overview
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こういうコメントをくださる先生がいる学校は、なるほど喜んで行けるって思いますね。また、サイトにお邪魔しますね!
返信削除コメントありがとうございます。これからもイギリスの学校のサポートについて書いていきますので、ぜひ読んでください。
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