長い試験日程
5月から始まったGCSEの試験も6月の2週目に入りようやく終わりに近づきました。長かった試験期間。日本の高校入試と違いイギリスの義務教育修了試験であるGCSEは各科目ごとに何日も行います。
GCSEの数学は試験が2回に分かれ2日間。英語は一般英語、文学と二つに分かれて、さらに文学の試験は2回に分けて試験が行われてと試験日数が増えていきます。
1教科の試験時間が長いので試験を小分けにします。数学は1部と2部で各2時間半となんと「のべ5時間」。
今年、我が家の長女も延17日間の試験日程をこなしました。
2年間の受験準備が終わる最後のラストスパートと親子共も力が入りますが、そのラストスパートの試験は1ヶ月以上にまたがり、さらに途中で学校の中休みも入りとだらだらと続くイギリスの全国統一試験。
「いよいよ試験が始まったぁ。最後の一息。」と思ってから試験最終日まで緊張感を保つのが大変。
終わっても「はぁ」とため息つく受験生の母でした。
GCSE の試験日程表 6教科試験でも17日間と長い試験日程 |
ディスレクシアと延長試験時間
「私の英語のクラスではディスレクシアの子も多いからって、今日筆記速度のテストがあったわ。」と教えてくれた我が家の受験生。GCSEの試験にさきがけ長女の中学校では 受験の際に特別な考慮が必要かを査定するテストが行われました。
受験特別措置とは延長時間、別室受験、付き添いによる代読みや「Scribe」と呼ばれる代筆です。イギリスではディスレクシアやAD等の学習障害を持つ生徒や怪我をしていて受験に差し障りのある生徒もこの対象になります。
GCSEおよびAレベル では試験時間の25%が延長追加されます。
2時間半のGCSE英語の試験だと追加される時間は約37分となり1回の試験時間は3時間強。
この延長時間の利用の仕方をうまく管理しないと 試験時間が長い為、同じ日に試験が2つあった場合Aレベルでは1日で7時間半の試験時間という長丁場になる場合があると特別支援教育教師連盟であるPATOSS*は延長時間による受験生の負担を指摘しています。
学校での学習障害のプログラムや受験特別措置の恩恵は大きい。
GCSEの最高グレードのA*(Aスター)とったディスレクシアを持つHollyは10歳まで読み書きができませんでした。それが、英語でA*を取ったばかりでなく、A*2教科とA3教科とトップグレードを合わせて5教科で取りました。
増加する延長時間受験生
GCSEで受験時間延長を受けた生徒は、2010年で109,773 人、2011年117,169人そして2012年では 123,248人 とその数が年々増加しているとメディアなどから指摘されています。試験共通委員会であるJCQ(The Joint Council for Qualifications)により2014年から新しいガイドラインが設定されました。
これにより英語がネイティブでないバイリンガルの生徒への特別措置もなくなりました。ディスレクシアなどの学習障害の審査も試験毎に行われるようになりました。
中学生になってディスレクシアと認知された甥っ子は学校のディスレクシアプログラムにより学習力がとても伸びて、5月のGCSEの試験で延長時間は必要なしとなりました。
1月の模擬試験の時も延長時間が認められ5月の試験直前まで延長時間を考慮した受験対策を行ってきた甥っ子。
そんな突然に「君は勉強ができるようになったから」と言われても。。。
ディスレクシアアセスメントやプログラムも普及してきたイギリスでも、まだまだ課題は続きます。
*PATOSS(The Professional Association of teachers of students with special learning difficulties)
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関連する記事
参照
テレグラフ GCSEs: 'extra time' rule overhauled to stamp out abuse (2013年8月)
ITV news: Dyslexia GCSE student celebrates A* in English (2014年8月21日)
PATOSS Tips-for-Students-with-Extra-Time-in-Examinations (2012 年2月)