不登校生の担任の先生
11月になるといつも思い出すのが、息子が1年生の時の担任の先生の言葉です。
小学校1年の7月から学校を休みだし、2学期になっても学校に行ったり行けなかったり。学校の近くまで来ているのにどうしても門をくぐれない息子。
その息子を道端において、母一人で学校まで行くこともありました。
「母親が学校にいたら、寂しくなってついてくるかな?」 息子が正式な不登校生になってわずか1ヶ月。まだ、不登校生がどういうものかよく分からず、そんな甘い考えをしていました。
不登校の息子をおいて母一人が学校に行っても、何もできることはありません。
保健室の先生に「今日も近くまで来たのですが。」とお休みすることを報告するだけ。電話でもすむことだけど、親だけでも学校を近く感じたいという思いもあったのかも。
保健室に挨拶に行くと、校庭にいっぱいの子供達。もう、2時間目の中休みになっていたのね。
息子のお友達もいっぱい楽しそうに遊んでいます。なぜ我が子はこの楽しそうに遊んでいる同級生の中にいないのかしら。
そんな子供達の輪の中に、息子の担任の先生の姿を校庭に見つけました。
「担任の先生にも挨拶しておこう。」
校庭にいる先生の側に行って、「今日もお休みします。学校の近くまで来たのですが、どうしても来られなくて。」と挨拶だけして帰ろうとすると、 担任の先生に「私のせいですか?」と突然聞かれて「はっ?」とその言葉の意味の分からず首を傾げる母親でした。
すると「私のせいですか?担任は生徒が不登校になると自分のせいじゃないかと思うのです。」と続けた先生。
あまりに突然な問いかけに『そんなこと聞かれてもなんて答えていいか分からないじゃない。』と心の中で思った母でした。
新1年生の7月に学校を2週間お休みしてから、夏休みが終わって新学期の9月になって1週間学校に行けたと思ったら、その後は行けたり行けなかったり。登校渋りが始まって2ヶ月。
「学校に来れるようになるといいですね。」と電話で話したりしたことはありますが、学校に行っても新一年生の担任の先生は忙しそう。
学校に行かない息子が悪いのだから、あまり迷惑をかけてはいけないと思っていた親。
担任の先生と息子の不登校について特に語り合ったことはありませんでした。
この時、校庭での先生の問いかけが、担任の先生と不登校のコアな部分について話した唯一の時でした。
不登校になったきっかけ・原因は何?
息子が学校に登校できなくなって困惑する両親。
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
毎日、息子の不登校の原因を追求していた両親でした。
息子の不登校の理由がわかることが一番の解決策のような気がしていました。
いじめ?何か嫌な経験をした?
でも、息子の口から学校や友達や先生を避難する言葉は出てきませんでした。
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
毎日混沌とする母にとっては、「そうです。担任の先生のせいです。」とか「いいえ。息子の不登校の原因はこれです。」とはっきり言えたらどんなに楽だったでしょう。
学校に行けなくて家にいる日でも「先生はこうしたんだよ。」「友達はこういったんだよ。」と登校してた時の学校での体験を楽しそうに話す息子。
こんなに学校のことを楽しそうに話すのに「なぜ学校に行けないんだろう?」
不登校生をめぐるはてなは増えていきます。
「私のせいですか?」と不登校の理由を聞く担任の先生のいきなりの質問に返事に困った母。
聞かれて親の心のほうが痛みます。
「先生、実は私も同じように自問しています。息子が学校に登校できないのは、親の私が悪いのでないかと思っています。」と心の中でつぶやいた母でした。
楽しそうに学校で起きたことを話す息子の顔が目に浮かびます。
「いままで先生のことを一度も悪く言ったことはありませんよ。息子は先生のことを好きだと思います。」とだけ答えた母でした。
小学生が学校に行けないとその子とかかわる全ての人が問います。
「なぜ?学校に行けないの?」
家族や先生、クラスのお友達までみんなが同じ質問をします。
不登校生の周りは犯人探しでやっきです。
「どうしたら学校に来れるようになるの?学校に来れない原因は何?」
遠く海を超えた異国の地で、孫息子の不登校のニュースを聞いた義祖母も「彼が学校に行けないのは私のせいじゃないか?」と電話先で泣きます。
いやぁ。おばあちゃん、それはないと思うよ。
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(表)参照:文部科学省
平成 25 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」
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