通知表の不思議
不登校で日本では勉強もなかなかできなかった息子が、アルファベットも間違えずに書けなかった息子が、
イギリスへ転校して、わずか1年と2カ月で、イギリスの6年生と同じ学習レベルに達成できたと言うのはどうしてなのだろうか。
小学校6年生学年末の通知表を見て、とても不思議に思いました。
やはり、これはひとえに、イギリスの特別支援システムのお陰だろうと思います。
息子は、日本の小学校5年生になる春に、イギリスの小学校に転校しました。
そして、イギリスの小学校で、息子はSENの生徒になりました。
イギリスでは、特別支援は、Special Education Needs と言います。
これは、特別教育の必要性(特別教育支援)ということで、
特別な教育が必要な子へのサポートという意味です。
日本で、不登校生の息子は、特別支援学級の生徒でもありませんでした。
引っ越してから数週間後、ようやく近所の小学校に入学できることが決まり、
「不登校生だったことを言うべきか。」悩みました。
転校したからといって、息子が登校できるとは限りません。
これが理由で、日本でも、他の学校に転校することをためらっていました。
「英語での教育を受けてないどころか、日本でも小学4年生修了の学力には程遠いし、通えない可能性が大きい。」
不登校生だったことを伝える為に、転入前に、親だけで学校に面接に行きました。
面接した副校長先生は、息子が不登校生だと言う話を聞いた後、一言。
「息子さんは、特別支援の生徒としてのサポートが付きます。」
そして、こう説明してくれました。
「でも、これは彼が不登校生だったということに関係なく、彼が英語圏以外の国から来た転校生だからということでつくサポートです。」
「イギリスの特別(教育)支援は、身体的障害から学習障害・発達障害、海外からの転校生まで幅広く含まれます。」
「だからと言って、サポートの内容に制限が付くわけではありません。サポートの内容は、この学校の特別支援のコーディネータが決めます。」
「この学校には、SENの資格を持つ教師は数名います。私もSENの資格を持つ一人です。つまり息子さんはどのようなサポートが必要かは、この学校の教師が決めて行きます。」
SEN(特別教育支援)のクラスメイト
イギリスの学校は、特別支援の子供は、特別に先生が一人つき、普通学級のクラスで勉強します。つまり、クラスに一人でも特別支援の子供がいると、そのクラスには、担任のほかにもう一人の先生が付くわけです。
この面接の時に、娘が通っていたロンドンの小学校のことを思い出しました。
娘のクラスには、学習障害(LD)の子がいました。
彼のためにアシスタントの先生がついていました。
学習障害があるからと言って、いつも先生が必要だとは限りません。
その子が、一人でできるアクティビティの時には、その先生は、クラスの他の生徒達のことの面倒をみてくれました。
クラスに学習障害のある生徒がいても、先生が多くなれば、そのクラスの他の子たちもその恩恵を受けるわけです。
娘のクラスメイトのイギリス人のお母さんが言った言葉を忘れられません。
「(学習障害のある)○○君がいるから、うちの子のクラスには、アシスタント・ティーチャー(先生)がつくからラッキーね。」
こうして、息子は特別支援(SEN)の生徒として、
教室で、アシスタントの先生についてもらって、クラスメイト全員と一緒に、
あるいは、別の部屋で、個別に一人の先生と、
時には、少人数グループの取り出し授業など、
いろいろな形のサポートを、イギリスの小学校で受けていったのでした。
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