ハードルの高い自己紹介
自己紹介って、大人でも、「なんて言おうかな。」なんてドキドキするものです。たしかに、大人になると、「自己紹介で、面白いことを言って、うまく印象付けよう。」なんてつまらない受けを狙ったりするので、緊張が高まるのですが。
不登校生の息子に、自己紹介はハードルが高い。かなり高い。
「自己紹介というと、たいがいは、名前を言って、『よろしく。』と、頭を下げれば終わりなんじゃないの。」と思いますが。 そうは、思わないのが、まだ人生経験の少ないピュアな子供たち。
学校に毎日行っていれば、知っている人間の間でのあいさつが、日課のほとんどですが、息子は、学校から足がだんだん遠くなるにつれ、学校の友達や知っている人でも、道端でばったり出会っただけで、顔がこわばって、身体が固まってしまったりします。
ところが、不登校生になると、いろいろな教育相談所、カウンセリングや病院などと不定期な場所に連れて行かれたりして、初めての人にあいさつをしないといけない場面が、かえって多くなったりして。理不尽ですね。
英国の学校へ転校1日目
イギリスの学校に転校する時に、この自己紹介が、彼の大きな不安の材料の一つでした。もちろん、他にもいっぱい不安な材料があったのですが。「自己紹介しろって言われたら、どうしよう。」
転校第1日目、家を出たまではいいけど。 息子の足は、3歩踏み出し、2歩下がる。『また、これかぁ。』わずか、数分の学校までの道のりがすごく長く感じます。
それでも、途中から心を決めたのか。学校の門をくぐることができました。
「行ってらっしゃい。学校楽しんできてね。」 こんな声かけが、息子にできる日が来るとは。。。
イギリスの小学校は、公立の学校でも、生徒の送り迎えがあります。5年生になっても、ほとんどの生徒の家族が、学校の門の前で、子供たちが出てくるのを待っています。
息子も校舎から、元気に出てきました。
開口一番。 「自己紹介はなかったよ。でも、みんな僕の名前を知っているんだ。前から知っているみたいで。今朝も、僕の名前を呼んで、『おはよう。』ってあいさつしてくれたんだ。どうして、僕の名前知っているのかな?」
次の日も、学校から帰ってくると、「同じクラスの子だけじゃなくて、他のクラスの子や上級生も僕の名前知っていて、声をかけてくるんだよ。」
「お友達できた?」と聞くと、 「みんなが、僕の名前知っているから、名前を呼ばれて、声をかけられると、なんとなく、友達っぽくなったりするんだよ。」
転校3日目の自己紹介
そして、転校3日目。「今日、僕は、自己紹介したんだよ。」『いよいよ、自己紹介か。』母親の胸の鼓動は高まります。
「先生が、『そろそろクラスのお友達の名前も覚えてもらいましょう。』と言って、みんなが一人づつ自己紹介して、最後に僕が自己紹介したんだ。日本のことを話したよ。」 嬉しそうに話てくれた息子に、学校への不安さなど感じられませんでした。
「でも、自己紹介する必要あったのかなぁ?だって、もうクラスの半分くらいの子とは、一緒に遊んで名前も覚えているもの。」
新天地での出発は、緊張しやすい転校生への先生方や学校の生徒の優しい心遣いから始まりました。
かたつむりからかえるへ脱皮? 高いハードルがだんだん小さくなっていきます |
小学校1年生で不登校生になった息子が、海を越えて、イギリスの学校へ。転校した日から、学年末までの息子の出席率は、98.6%でした。不登校さようならっていえるかな。
ランキングに参加しています。良かったら下のボタンを押してください。
0 件のコメント:
コメントを投稿