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日本と英国を行き来する2人のバイリンガルキッズの母。ロンドンで生まれた子供たちを連れて日本へ。横浜で英語で創作絵本を作るキッズ・クリエイティブ・ライティングの教室を開き、英語の絵本の出版。小学校で不登校になった息子を連れて、またまた英国へ。イギリスの自然と息子のテニス・トーナメントの応援と野菜作りを楽しむ日々を過ごしていましたが、社会人学生として大学に入学。

2013年10月8日火曜日

イギリスの小学校 能力別授業

英国の特別教育支援(SEN)

日本の小学校から英国の小学校に転校した際、息子はSEN (Special Education Needs)の生徒となりました。SENの生徒とは、特別支援の生徒のことを呼びます。特別教育の必要な生徒とされて、学校で、その生徒に適したサポートを受けられます。

日本の小学校では、特別支援の教室がありますが、イギリスでは、特別支援の生徒はたいがい普通学級の生徒として、普通級の教室でクラスメイトと勉強します。 (親の要望や学校側で要求した場合は、特別支援校および特別支援級に入る場合もあります。)

息子も、普通学級の教室でサポートを受けながら、イギリスの小学校5年生のクラスメイトと一緒に、勉強できることになりました。

このときは、まだ、日本で何年も不登校生だった息子が、イギリスに来たからといって、学校に通えるかわからない状況でしたが、とりあえず、勉強に関しては、個別にサポートしてもらえるという約束をもらい、ほっとしました。

それにしても、英語圏以外の国からの生徒は、特別なサポートを受けられると言うのは、とっても嬉しいことです。

教室での能力別(レベル分け)授業

 さて、『SEN(特別支援)の生徒になった息子には、どんなサポートがされるのかしら?』と、思っていたある日。

 「算数の授業では、僕は、別の教室に連れて行かれて、勉強しているんだ。このグループには、同じクラスの子が3人いるんだよ。」 と息子が報告してくれました。

 『これが、特別支援のサポートなのかな?』 と思いきや。

「クラスの他の子たちも、それぞれグループに分かれていて、僕のグループは一番下のグループ。」と説明してくれた息子。

そういえば、イギリスの小学校は、英語と算数の授業は、能力別グループ分けをしていたんだ。

思い出したのは、ロンドンの小学校で、Year1(1年生)になった長女のクラス面談に初めて行った時のこと。 1年生の教室に入ると、教室の真ん中に、天井から算数・英語のグループと書かれた紙がつるされていました。

英語のグループは、「Letter(文字)」「Word(単語)」「Sentence (文章)」「Story(物語)」「Book(本)」と書かれた紙に、それぞれの紙に子供たちの名前が書いてありました。

「Letter(文字)」と書いてある紙には、子供の名前は2名程書いてあり、「Book(本)」と書かれた紙にも名前は4名ほど。 他の生徒は、「Word(単語)」「Sentence (文章)」「Story(物語)」の3つのグループに、5~8名の名前が書いてありました。

 算数は、「Circle(まる)」「Triangle(三角)」「Square(四角)」「Pentagon(5角形)」「Hexiagon(6角形)」と分かれていて、それぞれ子供たちの名前が書かれていました。

やはり、「Circle(まる)」と「Hexagon(6角形)」のグループの人数が一番少なく、その他の3つのグループに、ほとんどの子供たちが分かれていました。

 一目見て、能力分けされているのがわかります。

英語のグループ名は、「Letter(文字)」から「Book(本)」。算数のグループ名は、「Circle(まる)」から「Hexagon(6角形)」。これらのグループ名は、どちらがレベルが上のグループで、どちらが下か説明されなくてもわかりますね。
(念のために、説明しておきますが、「Book(本)」と「Hexagon (6角形)」がレベルが一番上のグループです。)

イギリスの小学校能力分けグループリスト
こんな風に教室につるされていた英語・算数グループ分けリスト イラストをかいてみました。

教室での保護者の学習ヘルパー

 このロンドンの小学校では、生徒の親がボランティアで授業のお手伝いをすることができました。

日本の小学校のような授業風景がみられる授業参観の日などはないイギリスの小学校。 どんなふうに授業しているのか見たくて、お手伝いに行きました。

 その日のお手伝いは、英語の授業。

娘の教室についたら、教室の外の廊下のところに、机がひとつおいてあり、机を挟んで、椅子が二つ置いてありました。

 『何に使うのかな?』とおもったら、この机は、英語のレベルの一番下のグループの子が、先生と勉強する場所。教室の外で、担任の先生とマンツーマンの授業。英語が読めない子もいるので、アルファベットから始めていました。

教室の中に入ると、子供たちは、3つのグループに分かれていました。 7、8名いるの二つグループは、床にグループごとに座って、それぞれアシスタントの先生により、授業が行われていました。

おや、教室の端っこに机をくっつけて座っている4人のグループ。子供たちが、一人づつなにやら一生懸命書いています。『何を書いているのかな?』とのぞいたら、文章問題に、答えを書いていました。

同じクラスの6歳の長女は、まだ、「apple」とか「book」とかようやく読めて書くようになってきたばかり。

『 まさか、一人でこの問題を解いているのかしら?』

「この問題は、何て書いてあるか読めるの?」と、この4人グループの一人に聞いたら、「もちろん。」という返事。隣の子は、長い長い文章を答えの欄に書いていました。

 同じ学年なのに、すごい違い。わが娘も、イギリス生まれでイギリス育ち。小さいときから、英語で学んできているはずなのに、どうして?

ボランティアの保護者は、この優秀なグループ4名のお手伝い。と言っても、どの子も、わき目も振らずに、一人でどんどん問題をこなしていくので、保護者ヘルパーの仕事は、落ちた消しゴムを拾ってあげたり、鉛筆を削ってあげたりするだけ。

イギリスの学校での子供の能力分けとは


子どもの能力に差があって当然。できない子にサポートが付き、できる子たちは、自分の能力を生かして好きにやって行きなさい。

イギリス流レベル分け授業というのは、こういうことなのかな?

不登校だった息子は、英国へ転校する5年生まで、毎日授業を受けることはなかったので、英語どころか算数・理科等も含めてすべての科目の習得や知識には大きなギャップがありました。

でも、イギリスの小学校でのレベル別授業のお陰なのか、取り残されることもなく、クラスのみんなと学校生活を楽しめました。最後には、6年生レベルの学力習得が満足にできているというお墨付きの成績表も手に入れて、無事小学校を卒業できました。

算数の授業、簡単でよかったよ。

不登校生だった息子は、日本でも、少しは個別で勉強を教えてもらっていたので、まったく算数ができないというわけではなかったのですが、日本で勉強した量は、毎日に学校に通っているお友達とは大きくかけ離れていて、当然。

ということで、彼のクラスでの算数のグループは、クラスで一番下のグループ。 いままで、 学校で英語で勉強したこともないので、英語の授業は、とうぜん、クラスで一番下のグループ。

『学校に行くことはできても、クラスで何も分からず引き目を感じるのでは。また、それが原因になって不登校になるのでは。』と、心配していた母でしたが。

「僕、今の算数のグループで良かったよ。算数の勉強が、すごく簡単。」と、我が息子は、明るい声で教えてくれました。

学校に毎日楽しく通えるようになっただけでも最高と思っていた母ですが、こんなに明るく言われると、勉強のことも心配になってきました。

できなくても大丈夫といえる自信

息子の算数のグループに、息子と良く遊ぶお友達の名前がなかったので、息子と仲の良い子たちは、どのグループなのかしら?と思わず興味心がわきました。

 「君の親友のJ君は、算数は、どのグループ?」 「もちろん、一番上のグループ。」

 「そのグループに入れるのは、いつになるかなぁ?」 プレッシャーを与えることになるかなぁと思いつつも、思わず質問すると。

 「そりゃ、一生無理でしょう。」とにこにこ顔ではっきりと断言した息子。

思わず、返事に詰まってしまいましたが、何よりも引き目も感じていない明るい笑顔の息子を見て、嬉しくなった私。彼の顔には、『勉強ができなくても平気』という自信がみなぎっていました。

こんなに堂々と開き直った息子を見ることは、小学校に入ってから初めてでした。

日本にいた時は、「みんなと同じでなくちゃ。」「こんなんじゃ駄目なんだ。」と自分を追い詰めていることが多かった息子。

「君は君のままでいいんだよ。」というメッセージをいっぱいもらって、ようやく、『できなくても大丈夫。』と思えるようになったね。

自分は自分。楽しく勉強できればいいよね。なによりも、楽しく学校に行けることができてよかったね。



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